Vol.13 中西 圭三さん「美しい唄」SPECIAL

「美しい唄」SPECIAL

~YESTERDAY,TODAY AND TOMORROW~

シンガーソングライター 中西圭三

 ついにこの日を迎えた。7月11日。『美しい唄スペシャル』当日。心配された天候も家族の笑顔の為に神様も味方してくれたのでしょうか、実にいい天気。
 会場となる『音の広場』の緑も、ボランティアの方々やスタッフの皆さんが一生懸命設営に頑張ってくれた真っ白いテントやかっこいいステージも全てがキラキラ輝いて見えました。
 昨年初めて開催した『美しい唄コンサート』を何とか無事終えて間もなく、一緒に開催に向けて頑張ってくれた功労者岸くんから再び一本の電話をもらいました。
 「2010年の夏、アルテピアッツァの音の広場で安田侃さんの新しい彫刻『真無』のお披露目を兼ねた野外イベントをアルテが主催してやるので協力してほしい。安田侃さんは家族が笑顔になれるイベントにしたいと思っていらっしゃるようだ。」そんな内容でした。
 電話でそんな話をしている時から僕の心には『はいだしょうこ』さんの名前が浮かんでいました。その透明感があり、まっすぐで明るくて芯のある、まさに美しい唄がアルテに響く様子やそれを見ている家族が笑顔で楽しんでいる様子がとても自然に想像できました。そしてはいださんにとってもアルテの、素晴らしい作品群や取り巻く環境との調和感、地域との関わりや役割に対しての考え方、に触れてもらう事はとても意味ある事だと確信していました。
 はいださんもすぐに快諾。
 欲張ってもうひとつ子供達の為に叶えたい事がありました。それは生のバンドの音に触れてもらう事です。
 僕が初めてバンドの音の洗礼を受けたのは中学生になってからでしたが、そのときはベースの音の迫力に深く感動したのを覚えています。『アルテの美しい唄』が音楽の原体験なんて子供が育ってくれたらどんなに嬉しい事でしょう。
 開演まではいったいどんな景色が目の前に広がっているのか不安と期待の入り交じった不思議な緊張の中にいました。1曲目、はいださんの登場と共にぱっと笑顔の花が、詰めかけてくれた家族連れでうまった音の広場一面に広がったのを袖から見て本当に嬉しく思いました。子供達もさることながら親御さん達が楽しそうに一緒に歌ってくれている絵柄はまさに幸せを絵に描いたような光景。そんな家族を優しく見守るかのような『真無』。幸せな時間が美しい記憶となって全てに染み込んでゆく。
 「よかった」と心から実感した瞬間でした。
 前回同様、参加してくれた地元アーティストの『ドレッドノート』や『Toshi』くん、そして新たに参加してくれた『桜庭和』くん、音響照明スタッフの皆さん、一緒に踊ってくれた美唄の子供達&先生、ボランティアの皆さん、そしてアルテピアッツァの皆さん、安田琢さん、そしてそして安田侃さん、本当にご苦労様でした。そしてありがとうございました。
 打ち上げの席で会場から遠く離れた駐車場で整理を担当してくれたボランティアの方が真っ黒に日焼けした顔で「会場で見れなくて残念だったけれど、街のイベントに参加できてとても楽しい時間だった。みんな笑顔で帰ってゆきましたよ!」と行ってくれた事が最高の勲章であります!
 美唄・アルテピアッツァ・美しい唄、最高!!!

中西圭三