アルテ便り

2011年3月9日

110309 この場所にはいつも音があります。
その音は、太古の時代からあり続ける、ピエトラサンタの石切場から切り出された白大理石の玉石を縫うように流れている水音であり、その水と戯れる子どもたちの嬉々とした声であり、その声をやさしく包み込む風の音だったりもします。
春から秋にかけては木の葉のざわめきとともに鳥がさえずり、セミが啼き、一気に賑やかになりますが、一面を雪が覆う季節には「シィーン…」という音までもが聞こえてきそうな静けさで、自分自身の心音を意識したりもします。
 この場所にはいつも芳しい薫りが漂っています。
その薫りは、雪解けの頃の土の匂いであり、青々とした緑の薫りであり、木造校舎の懐かしさを湛えた木の匂いだったりもします。

一斉に花々が咲き誇り、緑が萌え出す春の頃のあの甘い薫りは、息吹の薫りとでもいうのでしょうか。どこか懐かしく、やさしく、私たちの心を浮き立たせます。
 この場所にはいつも美しい光があります。
東の空から毎朝射し込む金色の光、雲ひとつない真っ青な空の色に負けなくらいの輝きで、緑や水、人々の笑顔を照らす光、すべてのものをだいだいいろに染め上げる夕暮れの光。
澄んだ空気が広がる闇夜に点々と明滅する星や月の光。
 太陽が降り注ぎ、雨が降り、雪が積もり…。
この場所にはあたりまえの四季が存在し、あたりまえの時間が流れています。
その様々を黙ってじっと見つめているものがあります。
この場所で起こるすべてを受け止め、いつの時にも変わらずに佇んでいる美しい塊。
この塊を人々は彫刻と呼び、撫でたり、腰掛けたり、寝そべってみたり…、思い思いにこの塊との対話を楽しんでいます。
安田侃さんが魂を込めて刻んだ「かたち」が、確かに存在している「アルテピアッツァ美唄」。静かな心とほんの少しの時間さえあれば、誰でもきっとこの場所の虜になってしまうでしょう。
この場所には、そんな豊かな時間が今日も悠々と流れているのです。

 

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