アルテ便り

2003年12月10日

03_12 「今年は雪が遅くていいねぇ」などと呑気なことを言っていましたが、数日前から一気に大雪原。白い風景が拡がる季節になり、今年もカレンダーが出来上がりました。……といっても、このカレンダーは、札幌市在住の写真家・並木博夫氏が個人的に制作しているもので、アルテピアッツァとして作っているものではないのです。
 ただ、ここ数年はそのテーマをアルテピアッツァや安田侃の彫刻に絞って構成されていて、10年という節目の今年も安田彫刻、それも6月6日からの『安田侃の世界展』での北海道立近代美術館での展示風景がテーマになっています。
 1月から順に繰ってゆくと、抑制の効いた照明に照らされて浮かびあがる白大理石の滑らかな曲線や肌理。ほの暗い展示室のなかで鈍く光りながら確かな存在感を見せつけるブロンズ彫刻。そのどれもが磨きあげられた黒い床に反射して、まるで水辺に佇んでいるように見えます。
 「安田彫刻にはこどもが似合う」という言葉をよく耳にします。確かに大きな彫刻によじ登ろうとするこどもや彫刻の周りで鬼ごっこをしているこどもの姿は微笑ましく、とてもやさしい雰囲気に包まれています。が、同時に孤独も似合います。
 人の気配が感じられない空間に凛として立っている姿に、居ずまいを正さずにはいられない瞬間があります。
 このカレンダーを見つめていると、展覧会場で安田侃が見せてくれた静かな空間とその空間を自らも浮遊するようにして過ごした時間がよみがえってくるようで、新緑が美しかった初夏の日々を、音もなく雪が降る白い季節に再びゆっくりと感じています。

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